のんびり暮らしたい。そう思って空けた日曜日なのに、洗濯、買い出し、返信で夕方になる。予定表の空白と、実際に自由に使える時間は、案外ずれています。

「もっと時間があれば」という願いを研究で読むと、時間の量だけでは見えない部分が出てきます。足りないのは一時間なのか、急がなくてよい感覚なのか。それとも、空いた時間を自分で使い道から選べることなのか。ここでは性格の判定ではなく、自由時間と幸福感を調べた二つの論文を手がかりにします。

自由時間は、多ければ多いほどよい?

大規模調査で見えた、伸び続けない関係

Sharifらの2021年の論文は、米国の計35,375人を含む二つのデータセットと、二つの実験を扱っています。調査では自由時間が少ない範囲で、時間が多いほど主観的な幸福感が高い関係が見られました。ただし、その関係はどこまでも伸び続ける形ではありませんでした。

一方の調査では幸福感の上昇が頭打ちになり、もう一方では自由時間が多い範囲で低下する関係もありました。同じ論文内でも、結果の形は完全にはそろっていません。しかも調査部分は、暮らしの条件を無作為に変えた実験ではなく、時間と幸福感の関連を見ています。

「一日2〜5時間」を生活の合格ラインにしない

論文には、一方の調査で幸福感が高かった範囲を「およそ2〜5時間」と読む記述があります。これは米国の集団データの大まかな傾向です。あなたの休息の必要量や、日本で働く人の理想時間を計算した数値ではありません。

自由時間の測り方も、普段の時間を自己申告する方法と、ある一日の活動から算出する方法で異なります。「五時間以上休むと不幸になる」と読み替えることはできません。病気から回復中の人に休みを減らすよう勧める研究でもありません。

「時間を買う」実験は何を確かめたのか

時短の支出と生活満足度には関連があった

Whillansらの2017年の論文では、米国、カナダ、デンマーク、オランダの計6,271人を調べました。家事などの時間を節約するサービスにお金を使う人ほど、生活満足度が高い関連が報告されています。

ただ、関連だけなら収入や生活条件の違いも考えられます。そこで研究者たちは、カナダで働く成人60人を対象に、実際の支出を変える実験も行いました。

比較したのは、その日の気分

参加者は二つの週末にそれぞれ40ドルを受け取り、一方では時間を節約する買い物、もう一方では物の購入に使いました。順番を無作為に割り当てて比べると、時間を節約した日のほうが、その日の肯定的な感情は高く、時間に追われる感覚は低くなりました。

日常の支出を実際に変えた点は、この実験の強みです。一方、研究から分かるのは短期的な気分の違いまで。家事代行を長く使えば必ず幸せになる、という結論ではありません。実験で渡されたお金を使うことと、家計から毎月支払うことにも違いがあります。

自由時間を考える三つの視点:長さ、時間に追われる感覚、過ごし方

空いた時間にまで、成果を求めなくてよい

想像上の暮らしを比べた実験

Sharifらの実験の一つでは、参加者に自由時間が少ない、ほどほど、多い暮らしを想像してもらい、そのときの幸福感などを回答してもらっています。実際に半年間、労働時間を減らして追跡した試験ではありません。

別の実験では、自由時間を本人にとって有意義に使うと想像した場合、時間が多いことによる幸福感の低下が和らぎました。論文の「生産的」という言葉には、役立つ、充実している、価値があると感じる使い方が含まれます。収入や作品数だけの話ではないのです。

研究の数字を、新しい宿題にしない

ここからは私の受け取り方ですが、休むための記事を読んで「休日にも達成感を作らなくては」と焦るのは、少し違うと思います。読みかけの本を一章読む。何も決めずにお茶を飲む。過ごしたあとに自分がどう感じるかを確かめる余地は残しておきたい。

刺激の心地よさを考える最適覚醒水準と、自由時間の長さは別の話です。今回の論文は内向性・外向性別の理想時間を示したものでもありません。静かな環境への好みについては、静かに暮らしたい気持ちと感受性の記事で扱っています。

のんびりした暮らしを、小さく試す

まず「自由時間を奪っているもの」を一つ見る

ここからは研究で直接検証された手順ではなく、暮らしを見直すための提案です。「毎日一時間を作る」と決める前に、最近いちばん急いでいた場面を一つ書いてみます。帰宅後の夕食づくりなのか、寝る前に片づける連絡なのか。そこが見えると、減らしたい負担も具体的になります。

たとえば、手間のかかる献立を一回減らす、家族との分担を話す、返事をする時間をまとめる。費用のかかるサービスを使うなら、家計の負担と戻ってくる時間を両方確かめる。お金を使うこと自体が目的ではありません。

空いた時間の使い道を、埋めきらない

正直、私は「休息の効率まで測る」という言葉には身構えてしまいます。だから記録も、「今日は少し急がずに済んだ」くらいでよいと思うのです。時間の長さだけでなく、追われる感覚が変わったかを見てみる。

過ごし方の候補は一人の休日と回復の研究、疲れが残るときは仕事後と休日の休み方も参考になります。眠れない、気分の落ち込みが続くなど生活に支障がある場合は、時間管理だけで解決しようとせず、かかりつけ医などに相談してください。

よくある質問(FAQ)

のんびり暮らしたいのは、怠けているからですか?

その願いだけで怠けているとは判断できません。今回の研究が測ったのは自由時間や幸福感であり、人の勤勉さの合否ではありません。まず、どの場面で時間に追われているのかを具体的に考えられます。

自由時間は一日何時間あれば十分ですか?

万人に共通する時間は、この研究から決められません。調査にある「2〜5時間」は集団の大まかな傾向で、個人の必要な休息量を示す基準ではありません。

家事代行を使うと幸せになれますか?

60人の実験では、物を購入した日と比べて、時間を節約する支出をした日の気分がよくなる結果がありました。ただし長期的な効果や、すべての家庭での効果を保証するものではありません。費用と減らせる負担の両方を考える材料です。

自由時間に何もしないのはよくないですか?

何もしない時間を一律に否定する根拠にはなりません。想像上の暮らしを比べた実験と、疲れた日に休むことは別です。「今日は休みたい」と感じる日に、達成感のための予定を無理に足す必要はありません。